売春防止法について
「売春防止法」という法律があります。
この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更生の措置を講ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする。
と定めています。つまり売春の防止を目的とした法律で、売春をすること、その客になることはこの法律で禁止されています。
何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。
と規定しています(第3条)。売春をすることとその相手方となることは、法律上違法であると明確に定めているのです。
売春は違法だけれど罰則はなし
しかし、単純に売春をしても、売春防止法では処罰されません。処罰されない、ということは、逮捕・起訴されることはないのです。売春防止法では、売春そのものは禁止されていても、罰則規定がないためです。
というのも、「売春しないといけない人(主に女性)は、保護すべき対象」という考えがあるからです。売春というのは、自ら進んでする人はそれほど多くなく、経済的・社会的弱者であったり、管理売春などで無理やり売春させられた人が多いため、売春する人を処罰していないのです。
そして、売春行為そのものが処罰されない以上、客となる相手(主に男性)も処罰されないのです。
もちろん、相手が18歳未満の場合話は全く違い、「児童買春・児童ポルノ禁止法」違反になり、非常に重い罪になります。処罰されないのはお互いに成人の場合だけです。
売春を助長する行為は処罰対象
売春防止法で処罰されないのは、あくまで売春行為そのものです。その一方で、売春を助長する行為は処罰対象です。処罰されるのは、管理売春(売春婦を管理して一部をピンハネする)、売春の周旋をする、売春宿の提供や客引きなどをすることなどです。
売春および買春そのものは、社会の良俗に反するから違法行為だけれども、刑事罰を科すほど反社会性(他人への害)があるわけではないため処罰対象とはしない。一方で、売春する人を利用してお金を儲けるなどの行為(管理売春など)は、反社会性が強く処罰するということです。
つまり、売春自体は違法だけど処罰無し。売春助長行為(管理売春など)は処罰あり。ということです。